3000万円をつくる投資信託術 サラリーマンのためのインデックス投資入門
「3000万円をつくる投資信託術 サラリーマンのためのインデックス投資入門」を読了しました。
本書は、竹川美奈子氏の著書と言うだけで、躊躇せず指名買いしました。
正直なところ、内容が素晴らしいだけに、タイトルには感心しません。3,000万円やサラリーマンという限定はまったく不要であり、意図せず読者を選別してしまっているように見えるのが残念です。
さて、本書には、一般人(個人投資家)にとって投資の重要な概念となるインデックス投資・分散投資・長期投資、複利効果の意味と目的、そして投資手法の基本形が凝縮されています。
投資手法は王道を行くものであり、すんなりと納得できます。
文章は読みやすく明晰であり、随所に引用されるデータも説得力を持っています。
また、著者のようなファイナンシャル・プランナー(FP)や金融機関にとって、手数料収入の面で大きなデメリットとなること(低コストな金融商品を選択する・頻繁に売買しない・「勝ちに行く」という気持ちを捨てる)も実直に示してくれます。
そのため、非常に好感が持てますし、信頼もできます。
著者が強調するように、個人投資家の強力な武器である複利効果を最大化するために、とにかく早く少額でも投資を開始することが、自立するための第一歩となります。
一方で、早く開始することは、知識の乏しい中、手探りで投資することを意味します。
著者は、そのような不安を解消すべく、株価や為替相場を眺めたり、企業研究をしたりする必要はないと断言してくれます。
投資においては、基本に忠実に従っている限り、大きな失敗は起こり得ません。
したがって、投資の感触(ドキドキ・ワクワク)を肌で感じながら勉強を並行し、知識が蓄積された時点で自分なりのアレンジを少々加えれば良いというのが、著者流の投資術であり、実に合理的な手法と言えます。
ただ、著者は、国内債券のアセットクラスをMMFで代替する傾向があり、私は少々気になります。
現在、国内債券市場は超低金利が続いており、今後予想される金利上昇局面で価値の目減りが避けられない事情は、私も理解しているつもりです。
しかし、MMFはアクティブ運用かつ毎月分配型(正確には毎日分配型)の投資信託であり、先に示した概念とは相反する特徴を持っています。
また、仮にMMFから国内債券インデックスへの切り替えが必要になったとしても、そのタイミングや方法が示されていません。
そのため、MMFを選択する理由については、もう少し丁寧な解説が欲しいと思いました。
なお、本書は著者のこれまでの執筆経験とFPとしての実績、そして最新の動向を踏まえた整理がなされているため、どんな人にもお勧めできます。
これから投資を始める人は、「しくみ」マネー術を教科書として、本書を参考資料とすれば、ほぼ抜け漏れなく必要な情報を網羅できます。
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