最新 キャッシュフロー計算書がよーくわかる本
「最新 キャッシュフロー計算書がよーくわかる本」を読了しました。
本書は、財務諸表のうち、キャッシュフロー計算書(C/S)の「作り方」に主眼を置いており、「読み方」(財務分析)についてはカバーしていません。
C/Sは、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)と並び、財務の実態を示す重要な計算書です。
文字通り、お金の流れを示すため、一見すると入出金さえ把握していれば簡単に作れそうな気がしますが、実は非常に分かりにくいものです。
C/Sでは、資金の動きを3つのカテゴリー(営業活動・投資活動・財務活動)に分類する必要があり、日常的に色を付けておかないと、後で混乱の種になってしまいます。
また、B/SやP/Lは「発生主義」のため、入出金が伴わずとも計上できます(悪用すれば粉飾できる)が、C/Sは「現金主義」のため、入出金の事実がなければ計上できません。
C/Sの作成方法として、入出金記録から作る「直接法」と、B/SとP/Lから作る「間接法」の2種類が認められています。
とはいえ、実務ではすべての財務諸表を同時期に作成するのが一般的なため、間接法を用いる場合が多くなります。
その上で、間接法では、発生主義から現金主義への変換プロセスが必要になるのですが、互いに相容れない主義のため、プロセスを直感的に理解するのは困難です。
そのため、本書の例示に沿って機械的に学習していくしか、方法がありません。
しかし、具体例が示されているものの、変換前後の結果しかなく、変換過程が記されていません。手順を理解したいのに、これでは役に立ちません。
その一方で、冗長な本文が端々にあるのも目に付き、力の入れる場所を誤っている気がします。
注意深く数字を追っていけば、辛うじて読み解くこともできるため、簿記の延長上の副読本として、座学で使用するには問題ありません。
残念ながら、読み物としてはあまりに不親切だと、私は感じました。
なお、コラムでは最近の事例を豊富に取り扱っており、C/Sの読み方を知っていると、さらに理解が深まる内容となっています。
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