ストーリーでわかる財務3表超入門—お金の流れで会計の仕組みが見えてくる
「ストーリーでわかる財務3表超入門—お金の流れで会計の仕組みが見えてくる」を読了しました。
一般的に、会計や簿記に関する書籍といえば、概して退屈で眠くなります。
しかし、本書は極めて単純・明快・痛快で、読み進めるほどに目が覚め、理解できることの嬉しさを体感できます。
主人公が会社を興して、資金繰りに苦しみながら第1期を乗り切るストーリーの中で、正しい利益とは何か、それはどのように計算されるべきなのか、主人公とともに読み手も成長し、会計の全体像が見えてくるようになります。
本書には「画期的な勉強法」と銘打たれていますが、看板に偽りはありません。
お小遣い帳や家計簿と比較して、財務諸表の何がどう違うのかだけでなく、それぞれの帳簿にどういった関連性があるのかにまで踏み込んで解説されています。
貸方・借方といった手続き論よりも、帳簿の意味や目的といった本質論を重視しているため、直感的に理解しやすく、読んでいて気持ちが良くなります。
本書では繰り返し「全体像を掴むことが先決」と述べられていますが、まさにその通りで、この分野の学問は「木を見て森を見ず」が往々にしてあります。
細々した各論から勉強しようとすると、退屈で眠くなるばかりか、やがて理解できなくなって投げ出したくなってしまいます。
一方、本書のストーリーは実に良く練られていて、俯瞰的に物事を捉えられるよう構成されており、この場面で自分ならどう考えるか、読む都度立ち止まって考えたくなるくらいです。
高校生以上をターゲットとしているだけあって平易に書かれており、無理のないストーリーで大人も存分に楽しめる、なかなか懐の深い良書です。
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