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最小分散ポートフォリオを再現するETFが登場します

効率的フロンティアと最小分散ポートフォリオのグラフのイメージ

2015年10月20日付で、ブラックロックのETFシリーズ「iシェアーズ」に新しい4銘柄が加わります。

ブラックロックのプレスリリースや、東証のマーケットニュースによると、4銘柄のラインアップは、以下の通りです。

iシェアーズ TOPIX ETF(証券コード1475、略称iSTOPIX)
信託報酬率は税抜0.06%(2016年8月9日までは0.025%)、収益分配は年2回、TOPIX連動型ETFの中で最低水準の信託報酬率です。
iシェアーズ JリートETF(証券コード1476、略称iSJリート)
信託報酬率は税抜0.16%、収益分配は年4回、東証REIT指数連動型ETFの中で最低水準の信託報酬率です。
iシェアーズ MSCI日本株最小分散ETF(証券コード1477、略称iSMSCI最小分散)
信託報酬率は税抜0.19%、収益分配は年2回、MSCI日本株最小分散インデックスへの連動を目指します。
iシェアーズ MSCIジャパン高配当利回りETF(証券コード1478、略称iSMSCI高配当)
信託報酬率は税抜0.19%、収益分配は年2回、MSCIジャパン高配当利回りインデックスへの連動を目指します。

信託報酬率の競争がますます激化し、受益者にとっては喜ばしいことです。

注目のETF

このラインナップの中で私が最も注目したいのが、iシェアーズ MSCI日本株最小分散ETFです。

同ETFは、ブラックロックのプレスリリースでは、流行りの「スマートベータ指数」を取り入れていると強調していますが、私はむしろ、以前より興味を持っていた「最小分散ポートフォリオ」を再現するところに惹かれています。

最小分散ポートフォリオとは

最小分散ポートフォリオとは、個別株のリスクが最小となるように銘柄を組み合わせ、組入比率を調整するポートフォリオのことです。

三菱UFJ信託銀行のレポートに、概要や詳細が記されています(私が最小分散ポートフォリオのことを知ったのは、こちらのレポートがきっかけです)。

現代ポートフォリオ理論において、効率的フロンティア曲線上にあるポートフォリオが最も投資効率の良いことは、多くの方に知られています。

このうち、最小分散ポートフォリオは、効率的フロンティア曲線上で最もリスクの小さいポートフォリオ、すなわちグラフの赤い菱形の点になります。

最小分散ポートフォリオは、リスクが最小で、リターンも最小になるのが特徴です。

では、何が優れているのかと言いますと、国内で一般的に「市場ポートフォリオ」(すべての個別株を保有したものと仮定するポートフォリオ)だと考えられているTOPIXと比べて、リターンは同程度でも、リスクが低くなるのです。

その理論や実際については、先述のレポートに譲ります。

最小分散ポートフォリオのメリット

最小分散ポートフォリオのメリットを整理しましょう。

  • TOPIXが持つ「必要のないリスク」(アンシステマティックリスク)を負いません。必要のないリスクとは、無駄なリスクとも言い換えられます。
  • すなわち、TOPIXの期待リスクよりも、最小分散ポートフォリオの期待リスクは下がります。
  • 国内株式を最小分散ポートフォリオで構成し、適切な範囲内で(例えば)国内債券の投資割合を下げ、国内株式の投資割合を上げると、より高いリターンを期待できます。

債券の期待リターンは、どう頑張っても株式の期待リターンには及びませんが、株式を最小分散ポートフォリオで保有すれば、同程度のリスクで株式の投資割合を上げ、期待リターンを高められます。

つまり、iシェアーズ MSCI日本株最小分散ETFは、十分に低い信託報酬率で、この最小分散ポートフォリオを保有できるため、TOPIXよりも有利なアセットアロケーションを構成できる可能性が高いのです。

すぐにでも飛びつきたいが

ただし、ベンチマークの指数であるMSCI日本株最小分散インデックスは、2011年9月30日より算出が開始されているようなのですが、知名度も情報もほとんどないのが実情です。

採用銘柄は、MSCIのサイトで「JAPAN MINIMUM VOLATILITY (USD)」を選択すると表示されますが、かなり見辛いです…。

当面の間、同ETFの推移をTOPIXと比較しながら、投資対象として相応しいか否かを見極めていく必要がありそうです。

いずれにせよ、ようやく最小分散ポートフォリオにスポットライトが当たるようになったことと、信託報酬率の低いETFとして設定されることの2点について、私はとても嬉しく感じています。

同ETFの今後の動向が、非常に楽しみです。

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