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アセットアロケーションとポートフォリオを私なりに整理する

アセットアロケーションとポートフォリオのイメージ

ずっとモヤモヤしていた、「アセットアロケーション」と「ポートフォリオ」の定義を、ようやく整理することができました。

読者の皆様にとっては、「資産配分の割合」と「金融商品の一覧」で十分ですし、深く悩む必要も、この記事で混乱する必要もありません。

しかし、私はその性格ゆえ、細部にこだわってしまいます。そこで、用語の本来の意味に沿って整理してみようと思いました。しかし、調べれば調べるほど混乱するのです。

そんな折、どちらも元は英語なのだから、英語の原義に触れてみてはどうかとアドバイスいただきました。そしてようやく、私なりの定義をまとめるに至りました。

私なりの定義を試みる

予めお断りしますが、私の整理は、何らかの問題を提起するものではありませんし、投資の世界における一般的な定義とも、少し異なっているはずです。

ここでは、ある1つの総資産に対して、6つの具体例を以下に示します。

用語の定義

アセットアロケーション
資産の配分。資産の性質に着目する。一般に円グラフ(割合)で示す。
ポートフォリオ
金融資産の一覧。一覧の範囲や階層に着目する。一般に表(金額)を用いるが、円グラフ(割合)でも示せる。

例1.総資産のアセットアロケーション

アセットアロケーション
預金20.0%
株式19.0%
ETF3.0%
投資信託24.0%
債券4.0%
自動車30.0%
合計100.0%

例2.一般資産/投資資産のアセットアロケーション

ここでは、預金と自動車を一般資産、それ以外を投資資産と定義しています。

アセットアロケーション
一般資産50.0%
投資資産50.0%
合計100.0%

例3.総資産のポートフォリオ

ポートフォリオ金額(%)
みずほ銀行 普通預金8.0%
三菱東京UFJ銀行 普通預金7.0%
三井住友銀行 定期預金5.0%
NTTドコモ(9437)19.0%
TOPIX連動型上場投資信託(1306)3.0%
eMAXIS 先進国株式インデックス18.0%
SMT先進国債券インデックス・オープン6.0%
個人向け国債(変動・10年)4.0%
日産 スカイライン30.0%
合計100.0%

例4.投資資産のポートフォリオ

ここでは、投資資産を4つのアセットクラスに分類しています。

ポートフォリオ金額(%)
国内株式44.0%
外国株式36.0%
国内債券8.0%
外国債券12.0%
合計100.0%

例5.国内株式のポートフォリオ

ポートフォリオ金額(%)
NTTドコモ(9437)86.4%
TOPIX連動型上場投資信託(1306)13.6%
合計100.0%

例6.TOPIX連動型上場投資信託(1306)のポートフォリオ

金額(%)は、運用会社の公表データ(2015年9月30日現在)の純資産比率を用いています。

ポートフォリオ金額(%)
トヨタ自動車(7203)4.6%
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)2.7%
三井住友フィナンシャル・グループ(8316)1.6%
日本電信電話(9432)1.5%
本田技研工業(7267)1.5%
みずほフィナンシャル・グループ(8411)1.5%
ソフトバンクグループ(9984)1.4%
合計100.0%

整理に時間がかかった要因

アセットアロケーションもポートフォリオも、複数の表ができてしまいました。でも、間違いなく定義通りに作っています。

繰り返しになりますが、アセットアロケーションは資産の性質に、ポートフォリオは一覧の範囲や階層に着目しています。

着目すべき点が定まれば、簡単に整理できると思ったのですが、想像をはるかに超える時間を費やしてしまいました。その主な要因を以下に示します。

用語の示す意味が異なる
例1の株式債券は、貸借対照表(B/S)上の資産の性質を意味します。それに対して、例4の株式債券は、投資先のアセットクラスの一覧を意味します。
つまり、同じ用語であるにもかかわらず、用語の示す意味は異なっているのです。この違いが、私の理解を妨げる最大の要因となっていました。
用語を自由に定義できる
例2と例4は、作り手にとって都合の良いように、用語を定義しています。例4の用語は、投資の世界では一般用語であるため違和感はありませんが、客観性を求めるのであれば、用語の意味について触れておく必要があります。
一般的な定義と異なる点もある
例4が、アセットアロケーションでなくポートフォリオである点は、投資の世界で一般的とは言えないかもしれません。私も例4をアセットアロケーションと見なしており、解釈に苦しみました。
例4は、資産の性質で分類しているようにも見えますが、一方で、例1の下部に新たな階層を設けたものとも、例3と例5の間に新たな階層を設けたものとも考えられます。また、資産の性質を示すならば、例1の分類のほうが適切なようにも思えます。

定義を試みた結果

私なりに定義を試み、一通り整理できました。さて、この定義に沿って用語を正しく使い分けるべきでしょうか。

私は、そこまで細かく使い分ける必要はないと思っています。その理由を以下に示します。

コンセンサスが得られ(てい)ない
特に例4は、私自身も理解はしたものの、完全に納得しているとは言えません。また、既に確立されているコンセンサスを崩すつもりで整理したわけではなく、そのメリットもないと考えています。
意図は通じる
良くも悪くも、アセットアロケーションとポートフォリオを誤用したところで、投資への影響はありません。また、円グラフと表があれば、資産の配分と金融資産の一覧を容易に読み取れます。
必要に応じて但し書きを付せば良い
アセットアロケーションもポートフォリオも、その内訳を自由に定義できます。登場する用語が一般的な意味合いと異なるようであれば、その旨を書き添えれば済むことです。

頭の中も気持ちもスッキリ

厳密な定義が必要な場面においては、私の整理が多少の意味を持つかもしれませんが、ほとんどの方にとって、その必要はないでしょう。

しかし、私なりに整理したことには、意味があると考えています。用語を曖昧なまま使うのと、意味を理解して使い分けるのとでは、相手への伝わり方も説得力も違うからです。

結果的に、必ずしもコンセンサスを得られそうな整理となっていないかもしれませんが、大きなモヤモヤを解消できて、私は非常に満足しました。

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