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高齢投資家の投資行動を想像する

アンケート調査のイメージ

非常に興味深い、異色とも言えるアンケート調査結果を見つけました。

投資信託協会が2016年1月26日付で、投資信託に関するアンケート調査結果を開示しています。

20歳以上を対象とした調査であるにもかかわらず、(投資信託の保有経験がある)回答者の平均年齢が60歳近くと、かなり偏っているのです。

この年齢層は、少なくとも、ネット証券を活用して低コストのインデックスファンドを積立投資する層とは、投資行動の様相ががらりと変わるはずです。

そこで、調査結果の平均像だと思われる「高齢投資家」の視点に着目し、その投資行動について想像してみました。

ざっくりとした要約

全138ページの内容を、かなり大雑把にまとめました。詳細については、必ず調査結果をご参照ください。なお、カッコ内は、対応する設問を示します。

  • 70代以上でインターネットは利用しないという回答者は、40%を超えています。投資情報源は、新聞が42.7%、テレビが33.9%と続いています。(F6、問47)
  • 毎月分配型は、60代以上で約65%が保有しており、分配金の用途は、自分の小遣いが39.4%、生活費が32.0%となっています。(問11、問44)
  • 投資信託の保有のきっかけは、金融機関の人に勧められてが59.8%と、他を圧倒しています。(問15)
  • 取引形態は、銀行の店頭が41.1%、証券会社の店頭が37.7%と、対面取引が主要ルートとなっています。(問16)
  • 特別分配金の認知度は33.8%、分配時に基準価額が下がることの認知度は31.6%と、いずれも低位にとどまっています。(問18)
  • 最大の不満は、元本保証がないが33.0%、手数料が高いが17.6%、仕組みや運用実績がわかりにくいが10.4%と続きます。(問26の2)
  • 要望は、手数料の低い投信商品設計がシンプルな投信の充実が59.9%に達する一方、販売員によるアフターフォローの充実が24.3%となっています。(問27)
  • 50代以上はバランス型の投信に魅力を感じています。また、回答者の82.7%が、バランス型で分散することによってリスクが抑えられると考えています。(問42)

そこから見えてくるもの

対面取引やアフターフォローなど、人と信用を重視する高齢投資家が世の中の多数派であり、かつ分配金で生活を賄おうと目論んでいる様子が、全体から伺えました。

その上で、特別分配金もさることながら、分配による基準価額の下落について認知度が低い点は、非常に気になります。

元本保証でないことに不満を示す回答者も多く、未だ、投資信託の分配金が預貯金の利息と同じように考えられているのではないかと不安になります。

一方で、シンプル・低コストな投資信託へのニーズも高く、一概に「複雑怪奇で高コストの投資信託を買わされている」とは言えないことが分かりました。

また、バランス型の人気が高い点も想定外でした。分散投資の効用については、一定程度、認知されているようです。

想像を働かせる

高齢投資家の多くは、ネット取引のスキルがあっても、あえて対面を選ぶのではないかと想像します。ネット証券やインターネットで流通する情報に対しては、信用を置けそうにないからです。

安心感を得るためのコストは惜しまない一方で、投資信託そのもののコストには、疑問を投げかけているようです。

金融機関は、高コストの対面取引で低コストの金融商品を売りたいとは思わないでしょうから、当然にギャップが生じます。

この構図は、高齢投資家のコスト感覚が変わらなければ、崩れることもないでしょう。常に金融機関が悪者扱いされるのは、少し気の毒かもしれません。

良し悪しの問題ではない

客観的に見て、対面取引で低コストを要求するのは理不尽ですし、ネット取引に懇切丁寧さを期待するのも筋違いでしょう。

互いにメリット・デメリットがあるわけですから、好む好まざるとにかかわらず、取引チャネルを使い分けるしかありません。つまり、良し悪しの問題ではないのです。

投資の責任は投資家自身が負うものですから、どのような投資行動であっても尊重されるべきでしょう。

私は今のところ、対面取引に価値を見出せていませんが、もし宝くじに当たって数億円が舞い込んだら、怖くてネット取引できなくなるのかもしれません。

時に、自身の置かれている立場や環境を離れて、想像の世界に思いを巡らせてみるのも面白いですね。

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