紙幣の価値を考える
読者の皆様には、「二」「ホ」「ン」の3文字が見えるでしょうか。
画像は、千円札の裏面右上を拡大したものです。桜の花びらの内側に、緑色で印刷されています。
このような文字は「マイクロ文字」と呼ばれ、お札の偽造防止技術として採用されています。
画像のものは、ほんの一例であり、お札の表裏には、無数と言って良いくらいのマイクロ文字が印刷されています。
例えば、画像右側の「1000」の下に印刷されている「YEN」の中にも、「NIPPON GINKO」のマイクロ文字があります。
その他、様々な偽造防止技術の詳細については、国立印刷局のサイトをご参照ください。
お札の価値と製造コスト
このように、通貨の発行体は、その価値を維持するために工夫を凝らしています。
国内において、千円札の価値は1,000円分ですが、単なる紙片として見た場合、どれほどの価値があるのでしょうか。
最も高額な一万円札でも、製造コストは20円前後に収まるというのが通説になっています。
したがって、紙片の価値が製造コスト分だと仮定すると、千円札も一万円札も、おおよそ20円分の価値しか持たないことになります。
これほど安価に製造できることも驚きですが、20円に10,000円の価値を見出している事実も、驚きに値します。
製造技術は民間企業も保有している
小森コーポレーション(証券コード6349)は、国内で唯一の紙幣印刷機メーカーとして有名です。
世界シェアもトップクラスということで、ベトナムやインド、ロシアなどの当局に、自社の紙幣印刷機を納入しているようです。
経済の潤滑油を民間企業の技術に頼っているのもまた、驚きですよね。
普段何気なく扱っている紙幣ですが、虫眼鏡を片手に、隅から隅まで眺めてみるのも一興です。
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