主なTOPIX連動型インデックスファンドの組入銘柄数を比較する(2016年4月)
TOPIXは、読者の皆様お馴染みの指数ですから、改めて説明するまでもないと思います。
さて、私はkenzさんの記事で、<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドが決算を迎えたと知りました。
同ファンドは、配当込みTOPIX連動型としては最も低コスト(信託報酬率は0.290%)なことで知られていますが、もう一つ大きな特徴があります。
インデックスファンド(特に国内のアセットクラス)は、特段の事情がない限り、構成銘柄のほぼすべてを組み入れて運用するのが通例です。
しかし、同ファンドは、ニッセイ基礎研究所が独自に開発したモデル(いわゆる最適化法)に従って銘柄を選定しており、言い換えれば、運用会社が組入銘柄を「厳選」しているのです。
調査結果
早速、主なTOPIX連動型インデックスファンド(配当込み・除く)の組入銘柄数を調査したところ、以下の通りとなりました。
なお、基準日がバラバラのため、組入比率は算出していません。
名称 | 運用会社 | 基準日 | 組入銘柄数 |
---|---|---|---|
TOPIX | 東京証券取引所 | 2016年3月31日 | 1937 |
日本株式インデックスe | 三井住友TAM | 2016年1月22日 | 1876 |
野村インデックスファンド・TOPIX(愛称Funds-i TOPIX) | 野村AM | 2015年9月7日 | 1866 |
eMAXIS TOPIXインデックス | 三菱UFJ国際投信 | 2016年1月26日 | 1858 |
SMT TOPIXインデックス・オープン | 三井住友TAM | 2015年11月10日 | 1837 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド | ニッセイAM | 2016年2月22日 | 1672 |
<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドは異質
とにもかくにも、<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンドの組入銘柄数に驚かされます。
他のインデックスファンド4本の組入銘柄数の平均は1,859ですから、それより187も少ないことになります。
TOPIXの組入銘柄数の10%以上を無視しても、インデックスファンドとして成り立つのですから、現在のモデルは相当に出来が良いと言えるでしょう。
一般的に、組入銘柄数が少なければ少ないほど低コストで運用できますから、低い信託報酬率に見合った運用方法だとも言えます。
今回は問題なかったが
インデックスファンドの成績は、ベンチマークに近ければ近いほど好ましく、大きな乖離は(上方乖離であっても)運用手腕に疑問符が付きます。
kenzさんの記事では、配当込みベンチマークとのトラッキングエラーも低い
と分析されていますので、今回、その点は心配ないようです。
ただ、このモデルが今後も安定した成績を残せるか否かは、未知数です。
目論見書には、必要に応じてモデルを見直すと記載されており、見直したモデルの出来が今一つだったり、見直す時期が適切でなかったりすると、乖離に直結するからです。
もっとも、同ファンドは、現時点でかなり優秀な成績を示しており、あえて選択を避ける必要はないでしょう。
実際、海外のアセットクラスでは、流動性などの問題を考慮して、最適化法を採用しているインデックスファンドも多いのです。
私は、一般的なTOPIX連動型インデックスファンド以上に、今後の動向を温かく見守りたいと考えています。
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