財務省の財政学習教材に疑問を抱きました
財務省が2016年4月15日付で、財政学習教材というものを公開しました。
日本の「財政」を考えようというタイトルが付けられています。学習教材として公開しているのは、この1つだけのようです。
早速読んでみたのですが、誰に向けて何を訴えたいのか、私にはまったく理解できませんでした。
歳入の主な内訳
学習教材によると、歳入を構成する税の種類と金額は、所得税が18兆円、消費税が17兆円、法人税が12兆円などとなっています。
また、2016年度の国債発行額は、34兆円になるとのことです。
私は財政に関して素人ですから、数字を見てもピンと来ないものの、歳入と歳出のバランスが悪いことは分かりました。
「借金増大の問題点」は正しいのか
学習教材ではさらに、財政赤字の拡大によって、以下の問題が生じるとしています。
- 公共サービスへの支出が減少
- 負担の先送り
- 借金返済がますます困難
しかし、この3点は、素人には理解しがたいものがあります。
まず、公共サービスへの支出は、減少させる必要がありません。必要ならば国債を発行してでも支出するのが、財政の基本的な役割です。
次に、負担の先送りは、今に始まったことではありません。また、散々積み上げてきた債務を、これからの世代が清算しなければならないというのは、財政というよりも政治の問題でしょう。
最後に、借金返済が困難になると言いますが、健全なインフレーションを継続できれば、実質的な負担は軽くなります。対処の余地があるものを問題とするのは、不適切ではないでしょうか。
私の考え方に誤りがあるかもしれませんが、どのような内容であっても、不安を煽るような論調には疑問を抱かざるを得ません。
目指す姿を示してほしい
この学習教材は、内容が薄いこともあって、私には増税への言い訳に聞こえました。
現状維持には増税もやむなしという結論を期待しているのかもしれませんが、そもそも現状を維持する必要があるのでしょうか。
財政の破綻は、財政政策を含む「仕組み」の破綻によって引き起こされるとも考えられます。
つまり、仕組みを抜本的に変えていかなければ、どのみち破綻しそうに思えるのです。それに加え、今後も際限なく税率を上げられるわけではありません。
近視眼的な議論しか提起できないのであれば、学習教材として不適切でしょう。
まずは、絵に描いた餅であっても目指す姿を示し、そこへ向かってどのような手段を取り得るかを「自分事」として考えるのが、私は本筋ではないかと感じました。
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