無登録の金融商品取引業者は想像以上に多い
我が国では依然として、投資詐欺(的商法)が横行しています。
読者の皆様は、甘い儲け話には引っかからないと思いますが、その手口には興味がおありかもしれません。
氷山の一角
金融庁は、無登録で金融商品取引業を行う者の名称等についてを開示しており、私は時々確認しています。
2016年5月13日時点で、このリストに載っている業者は471件、そのうち2016年分は19件に上ります。
ただし、ご覧いただく場合の留意事項
には、以下のように記載されていますので、実際には数多く存在するのでしょう。
- 掲載されている無登録業者は、警告書の発出を行った時点で無登録営業を行っていることが確認できた者に限られています。そのため、掲載されていない者であっても、無登録営業に該当する行為を行っていることがあり得ますのでご注意ください。
- 掲載されている無登録業者について、必ずしも、現在の無登録営業の状況を示すものではありません。また、その名称及び所在地等についても、現時点のものでない場合があります。
- 掲載されている無登録業者は、財務省の総合出先機関である財務局が、金融庁の委任を受け、警告を行ったものを含みます。
なお、私は無登録業者のことを、投資詐欺(的商法)を行っている業者に等しいと考えています。
なぜならば、基本要件も満たしていない業者など、信用に値しないからです。ましてや、登録業者でさえ、怪しい業者が世の中に存在しているからです。
どのような業者なのか
かつては、対面や郵便物で不適切な勧誘を行う業者が多かったようなのですが、2014年付近を境に、インターネットでこれらの勧誘を行う業者が急増しています。
例えば、2016年5月に掲載された2件は、いずれもインターネットを通じて、投資顧問契約に基づく助言の勧誘を行っていたもの
とされています。
そのうちの1件である「株CINEMA」は、2016年5月13日時点でサイトが閲覧可能でしたので、興味本位で覗いてみました。
すると早速、華々しい「過去の実績」とともに、以下のような文言が目に留まります。
- 成功している投資家のみを情報源として揃えた投資会社
- 某仕手グループの元メンバーや某サイトでのトップランカーなど多彩な顔ぶれをご用意
- 情報源の中から(銘柄を)お選びいただくだけで「買えば儲かる」という最短距離での利確が可能
- 無料会員登録をするだけで当社情報源たちのコラムも読み放題
情報の販売価格が30,000円~500,000円と高額ですし、インデックス投資家に魅力的な要素は見当たりません。
もっとも、安易な気持ちで無料の会員登録をしてしまう可能性はあります。
如何せん、この業者は金融庁が正式に警告した無登録業者ですので、現時点で絶対に関わってはいけません。
儲け話などあるわけがない
読者の皆様は、もし確実に利益の上がる投資話を知ったとすると、誰かに教えるでしょうか。
それより、方々からお金を借りてでも自身で投資し、独り占めしたいと思うでしょう。
つまり、先述の文言に沿えば、以下のことが言えるはずです。
- 成功している投資家ほど資金力にモノを言わせて利益を独占するはず
- 仕手グループやサイトが上手く回っているのならば尚のこと
- そもそも「買えば儲かる」わけがない
- 情報の販売業者は無料のコラムに価値ある情報を載せない
冷静に考えれば誰でも分かることなのですが、そこに一旦足を踏み入れると、周囲が見えなくなってしまうのかもしれません。
「君子危うきに近寄らず」と言いますが、投資においては殊に、この戒めが身に染みます。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と自信過剰にならないよう、くれぐれもお気を付けください。
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