インデックス投資が終焉を迎える時
私はインデックス投資家ですが、インデックス投資が永久に万能なわけではないと思っています。
インデックス投資に欠点が少なく、他の投資手法に比べて合理的だと言えるのは、紛れもない事実でしょう。
しかし、「欠点が少なく合理的」の裏返し、つまり欠点が多くなったり非合理的となったりすれば、その時がインデックス投資の終焉かもしれません。
弱点はある
インデックス投資の弱みは、ベンチマークの良し悪しが成績に直結する点です。
ベンチマークが市場動向を的確に捉えなければ、期待リスク・リターン水準を達成することも、調整することもできません。
例えば、国内株式のベンチマークにS&P日本企業グループ指数 三菱系企業群を選定するのは、明らかに非合理的でしょう。
もし、ベンチマークとして一般的に相応しいと考えられているTOPIXが変質してしまったら、それと同じことが起こるかもしれません。
実際、TOPIXは2006年前後に、「時価総額加重平均型株価指数」から「浮動株基準株価指数」へと変わっています。
当時は、特に大きな混乱もなかったようですが、指数の連続性の観点では、必ずしも好ましいこととは言えません。
良くも悪くも、ベンチマークは水物です。現在は適切であっても、将来どうなるかまでは分からないのです。
流行り廃りもありそう
現在、従来のベンチマークよりも高い投資効率を期待できる「スマートベータ」が、にわかに注目を集めています。
もし、猫も杓子もスマートベータをベンチマークに選定すると、市場動向に歪みを生じる恐れがあります。
そうでなくとも、「設備・人材投資指数」や「設備・人材投資ETF」は日本銀行向けの記事の通り、日銀が巨額のスマートベータETFを買い入れることがほぼ決まっており、組入銘柄と非組入銘柄の格差が広がる可能性は、潜在的に高まっています。
また、ほとんどのスマートベータは、開発されて間もないため、目ぼしい実績がない上に、指数の傾向も掴めません。
こればかりは今後の推移を見守るしかありませんが、スマートベータがベンチマークとして相応しいか否かを判断するのは、早計と言えるでしょう。
投資家も、その時々で適切なベンチマークを見極められなければ、思わぬ落とし穴にはまってしまいそうです。
考えすぎだとは思うものの
とはいえ、現時点で考えられるシナリオが、その通りとなる可能性は、ほとんどないでしょう。
それだけ、インデックス投資が「欠点が少なく合理的」な投資手法である証とも受け取れます。
インデックス投資の終焉は今のところ予見できませんが、弱点があることは把握しておくべきかもしれませんね。
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