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三菱UFJ国際投信が「目論見書を読み解くガイド」を作成・公開

目論見書を読み解くガイドの運用管理費用(ファミリーファンドの記載事例)のイメージ

三菱UFJ国際投信が2016年6月30日付で、同社のサイトに1つのコンテンツを追加しています。

目論見書を読み解くガイドは、同社の内部組織である「アドバイザリー・コミッティ」からの提言を形にしたものです。

アドバイザリー・コミッティの設置目的については、以下のように説明しています。

弊社では、運用会社としてのフィデューシャリー・デューティーを高いレベルで全うするためには、お客さまの視点からの見方・声を業務運営に反映させることが重要であると考えております。

その観点から、学識経験者、弁護士、業界識者等各界の有識者の方々から助言をいただくことを目的に、平成27年9月に「アドバイザリー・コミッティ」を設置致しました。

そして、2015年11月16日に第2回を開催し、意見交換とその後の対応について、以下のように触れています。

意見交換
交付目論見書の法定要件を満たした上でわかりやすさを追求した点は一定の評価ができる。
ただ投資家の知識レベルは様々であるため、一律には対応しにくい。
そのため、投資の初心者に向けては交付目論見書を補完する資料を作成するなどの対応をしてはどうか。
その後の当社の対応
弊社ホームページ内に目論見書を読み解くための用語解説の専用サイトを開設

つまり、目論見書を読み解くガイドは、アドバイザリー・コミッティの具体的な成果とも言えます。

目論見書を読み解くガイドの概要

目論見書を読み解くガイドは、以下の2部構成となっています。

  • 確認すべき主な箇所を示した「交付目論見書の構成とチェックポイント」
  • 個々の用語の意味について解説する「目論見書用語集」

いずれも、実際の目論見書を例に挙げ、その構成順に触れているため、読みやすく仕上がっています。

チェックポイントは、「価格変動リスク」「信用リスク」「流動性リスク」「為替変動リスク」「カントリー・リスク」「金利変動リスク」を個別に説明するなど、なかなか親切だと感じました。

用語集は、難解な用語を精一杯かみ砕いて示しているものの、初心者が理解するには少々厳しいかもしれません。

ただ、これ以上細かく記載すると、却って理解を妨げるとも考えられますので、投資家が自ら調べるなり、同社の「お客様専用フリーダイヤル」に問い合わせるなりすべきでしょう。

なお、チェックポイントの「手続・手数料等」では、目論見書の「運用管理費用」(信託報酬)と運用報告書の「1万口当たりの費用明細」(実質コスト)の対応にも触れており、一読の価値があります。

改善の機会

目論見書を読み解くガイドは、投資の初心者向けコンテンツですから、理解のしやすさに重点を置いて作成したことが、見ていても伝わってきます。

初心者にとって役立つであろうことは、間違いないでしょう。

それと同時に、いくつか改善の機会があるようにも感じました。私の個人的な意見では、以下の3点が挙げられます。

  • 販売員の説明を鵜呑みにするなど、そもそも目論見書を読まない初心者がいると考えられる。そのため、目論見書を読むことの重要性や必要性についても触れられていると良い。
  • 用語集は、目論見書の構成毎にページが分かれているため、例えば「普通分配金」と「特別分配金」の記載個所が異なっている。用語の相互参照が容易になると良い。
  • 全般的に画像(図)が小さく感じるため、拡大時にもう少し大きく表示されると良い。

せっかく労力を割いて作成した良質なコンテンツなのですから、今後もぜひ少しずつ手を入れて、さらに磨きをかけて欲しいと思います。

目に見えるフィデューシャリー・デューティー

フィデューシャリー・デューティーとは「受託者責任」のことですが、ともすれば単なるお題目にもなりかねない、抽象的な概念です。

例えば、組織としての責任の所在を予め明確にしたり、利益相反の起こりにくい運用体制を敷いたりするだけでも、一応はフィデューシャリー・デューティーを果たしていることになります。

これらは重要だとはいえ、投資家(受益者)から見えない部分の話であり、従来と何が変わったのかさえも分かりません。

また、身も蓋もありませんが、本来当たり前のことを再定義しているだけという見方もできます。

主要な運用会社が揃ってフィデューシャリー・デューティー宣言を行っている現在、次に求められるのは、それに基づく具体的な「成果」ではないでしょうか。

その点で、同社は、業界のトップランナーであり、ペースメーカー的な存在でもあるように感じます。

今回のように、投資家の視点で目に見える「成果」が提示されると、やはり安心しますし、そこから信頼感も生まれるものです。

同社の掲げる業界最高水準のフィデューシャリー・デューティを全うするに向けて、また一歩、着実に前進したと言えるでしょう。

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