投資の目的と手段には見えない制約条件がある
唐突ですが、本ブログは、「バリュートラスト|価値を生む・未来を託す・投資を歩く」という長めのタイトルを掲げています。
そこには、お金を含む様々な価値を自身で生み出しながら、投資に未来を託して歩き続けることが、私の目指す投資、ひいては人生のあり方だとの意味を込めています。
少々大げさだと思われるかもしれませんが、目先の利益に囚われて、未来への備えを疎かにすることのないよう、自らへの戒めともしています。
さて、多くの読者の皆様は、既に投資を始めていらっしゃるものと想像しますが、投資の目的を何に置いているでしょうか。
投資の目的
投資ブロガーの方々のブログなどを拝見していると、私と同じ考えの方も、そうでない方もいらっしゃいます。
代表的なものは、以下の通りです。なお、私と他の方では、用語の定義が異なるかもしれませんが、予めご容赦ください。
- アーリーリタイア
- 定年を迎える前に退職(早期退職)し、仕事をせず悠々自適に生活することを目指します。
- セミリタイア
- フルタイム(重責)の仕事を早く切り上げ、日々の生活を賄う程度の気楽な仕事に就き、余裕のある生活を目指します。
- ゆとりあるリタイア後
- 勤め上げた後、例えば世界一周旅行などの夢を叶えたり、現在の生活レベルを落としたりせずに生活することを目指します。
- 老後への備え
- 年金受給額の不足分を賄い、老後も不安なく生活できることを目指します。
必要な資金量の多い順に挙げてみました。読者の皆様も、4つのいずれかに当てはまるのではないかと思います。
ちなみに私は、最も資金量の少ない「老後への備え」です。可能な限り長く、現役で働き続けたいと考えています。
目的と手段
一般的に、何らかの目的を達するためには、状況に応じて相応しい手段を検討して実行に移します。
例えば、自宅から勤務先への通勤にヘリコプターを使うというのは、おおよそナンセンスでしょう。
公共交通機関が発達していればそれを使いますし、緊急ならばタクシーを使うことも考えられます。
また、徒歩や自転車・自動車通勤が最適な場合もあるでしょう。
投資の目的が違えば投資の手段も変わるか
さて、これを投資の現場に持ち込むと、どうなるでしょうか。
先に挙げたように、投資の目的は、少なくとも4つに分類できますから、各々、相応しい投資の手段がありそうに思えます。
ネットで頻繁に見かけるのは、「アーリーリタイア」を目的とした大勝負(ギャンブル)です。
しかし、読者の皆様もご承知の通り、一握りの勝者の裏に大勢の敗者がおり、ほぼ勝ち目はありませんから、ここでは考慮しません。
それを除き、目的と手段の決定要因を私なりに洗い出してみたところ、最終的に、以下の2つへと収斂しました。
資金量(ストックとフロー)
4つの目的を達するために必要な資金量は、非常に大きな幅を持っています。
収入が多くて支出が少ないほど、貯蓄や投資に回せるお金(フロー)が多くなりますから、より上位の目的を達することができるでしょう。
また、既にそれなりの資産(ストック)を保有している場合も、同様に有利です。
一方、収入が少なかったり、支出が多かったり、資産規模が小さかったりすると、より実現可能性の高い目的へと舵を切らなければなりません。
無理に背伸びしようとすると、過大なリスクを負わなければなりませんから、どうしてもギャンブル色が強くなってしまいます。
そもそも、そのような状況下でギャンブルに負けたとすれば、後々取り返しがつきませんから、むやみに負うのは禁物です。
したがって、現在のストックと将来のフローは、目的の設定に大きく影響します。
期待リスク・リターンの水準
当たり前ですが、例えば元本保証で年利20%を目指せるという投資話は、あり得ません。
年利20%は、個別株に資金を集中投下したり、信用取引や先物取引、オプション取引を用いたりすれば、達成可能かもしれません。
その代わり、元本保証どころか、元本以上の損失を被る可能性もある、極めて高いリスクを負うことになります。
適切な期待リスク・リターン水準を取るためには、分散投資を指向するというのが、現代ポートフォリオ理論に則った標準的な考え方です。
ただし、分散投資の場合、効率的フロンティア上のポートフォリオのみが最適解となりますから、突拍子もないリターンを狙うことは不可能です。
つまり、投資に求めるべき現実的な期待リスク・リターンの水準は、人によらず、概ね一定の幅に収まるはずです。
これはすなわち、投資の取り得る手段が限られることを意味します。
逆立ちしても敵わないものは敵わない
以上を整理すると、以下のようになります。
- 各々の資金量に応じて、取り得る目的に制約が生じる。
- 期待リスク・リターンの水準には制約があるため、取り得る手段にも制約が生じる。
現実をしっかりと見据え、地に足をつけて取り組まなければ、何事においても結果が伴わないのは自明です。
人それぞれスタートラインが異なり、制約も異なることを認識しておくと、自身に相応しい投資のあり方とは何かが、より現実味を帯びて見えてくるはずです。
本ブログを含む投資ブログをご覧になる際は、ブロガーの目指しているところに着目してみると、新たな気づきが得られるかもしれません。
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