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JPモルガンAMが57アセットクラスの長期予想レポートを発表

JPモルガンAMのLong-Term Capital Market Assumptionsのイメージ

JPモルガンAMが2017年2月20日付で、今後10~15年の見通しに基づき、57アセットクラスの期待リターンや相関係数などを算出し、レポートとして公開しています。

同社のプレスリリースによると、同社が過去21年間、英語で公表している「Long-Term Capital Market Assumptions」(LTCMAs)を日本語で公開するのは、今回の2017年版が初とのことです。

本レポートの要旨は、以下の通りです。

  • 実質GDP成長率の見通しを下方修正し、先進国で0.25%、新興国で0.50%引き下げています。これは、人口の高齢化と生産性の伸び悩みによるものです。その結果、幅広い国で均衡金利水準(経済成長やインフレ率見通しに整合的な短期金利水準)は低下しています。
  • 主要中央銀行が非伝統的な金融政策から脱却するには、以前考えていたよりもはるかに長い時間が必要と見ています。非伝統的な金融政策の長期化と、均衡金利の低下によって、国債のリターンはほぼ現預金と同水準となりました。すなわち、デュレーション・プレミアムは、ついにゼロ%付近となりました。
  • 各資産クラスについて見ると、均衡金利の低下は、株式リスク・プレミアムの上昇につながり、株価のボラティリティを上昇させる要因となっています。一方、債券市場の中では社債投資(投資適格債券、ハイ・イールド社債を含む)が堅調と見ています。オルタナティブ資産の中では、実物資産が堅調に推移する見込みです。
  • 結果として、株債比率が6対4のポートフォリオの期待リターンは、0.75%程度低下しています。当社は以前から「伝統資産を用いた固定的な資産配分では現在の相場環境において苦戦する」という考えを持っていましたが、その見方はより強まっています。よって、期待リターンを高めたいと考える投資家は、オルタナティブ資産についてより本格的に検討する、またはアクティブ運用やベンチマークに囚われない機動的な資産配分手法を検討する必要があると考えます。

詳細については、本レポート(プレスリリースに添付)をご参照ください。

今後10~15年と過去10年の相関係数マトリックスを比べてみると

何と言っても圧巻なのは、2ページにわたって掲載されている57アセットクラスの相関係数マトリックスです。

このうち、拙作投資応援ツールで採用している11アセットクラス分を抜き出してみると、以下の通りです。

アセットクラス国内株式先進国株式新興国株式国内債券先進国債券新興国債券
国内株式+1.00      
先進国株式+0.83+1.00     
新興国株式+0.73+0.88+1.00    
国内債券-0.32-0.32-0.27+1.00   
先進国債券+0.65+0.73+0.65-0.25+1.00  
新興国債券+0.72+0.80+0.75-0.25+0.84+1.00 
+0.05+0.16+0.28-0.03+0.27+0.25+1.00

なお、本レポートと表のアセットクラスの対応関係については、以下の通りです。

  • 国内株式には、「日本大型株式」のデータを用いています。
  • 国内債券には、「日本国債」のデータを用いています。
  • 新興国債券には、「新興国国債」のデータを用いています。
  • 国内REIT・先進国REIT・新興国REITの3アセットクラスについては、該当データが存在しないため、表より除いています。

ちなみに、アセットクラス相関ファインダーによると、2007年1月から2016年12月までの過去10年の相関係数マトリックスは、以下の通りです。

アセットクラス国内株式先進国株式新興国株式国内債券先進国債券新興国債券
国内株式+1.00      
先進国株式+0.81+1.00     
新興国株式+0.74+0.88+1.00    
国内債券-0.33-0.33-0.28+1.00   
先進国債券+0.65+0.72+0.68-0.24+1.00  
新興国債券+0.70+0.76+0.80-0.13+0.71+1.00 
+0.13+0.24+0.370.00+0.42+0.40+1.00

両表を比較してみると、相関係数が驚くほど近似していることを読み取れます。

例えば、0.10ポイント以上乖離しているのは、28組のうち、わずか以下の4組です。

  • 国内債券・新興国債券…0.12ポイント
  • 先進国債券・新興国債券…0.13ポイント
  • 先進国債券・金…0.15ポイント
  • 新興国債券・金…0.15ポイント

これほどまでの近似が偶然なのか必然なのか、私には分かりません。

ともあれ、今後10年程度は、過去10年の相関係数マトリックスを参考にできそうだと言えるでしょう。

若干気になるのは、過去10年を振り返ると、何某ショックによる株価暴落や、世界的な超低金利傾向が発生している点です。

そうなると、今後10年も、同様の事象が発生したり継続したりすることを織り込んでいるのでしょうか。

アセットアロケーションを変更する必要はあるか

同社はプレスリリースにおいて、以下のようにも述べています。

高バリュエーションと低成長により株式の期待リターンは幅広い国・地域で引き下げられています。また、均衡金利の低下は、株式リスク・プレミアムの上昇につながり、株価のボラティリティを上昇させる要因となっています。一方、オルタナティブ資産の中では、実物資産、特に米国不動産が堅調に推移する見込みです。

(中略)

期待リターンを高めたいと考える投資家は、オルタナティブ資産についてより本格的に検討する、またはアクティブ運用やベンチマークに囚われない機動的な資産配分手法を検討する必要があると考えます。

不動産(REIT)に関しては、オルタナティブ資産の中でもごく一般的なアセットクラスとして認知されてきており、REITの役割や位置付けについて、特に異存はありません。

とはいえ、過去と将来の相関係数マトリックスを比較する限りにおいて、仮に株式・債券クラスが低調だとしても、アセットアロケーションを積極的に変更する必要性は、少々感じ取りにくいところです。

アクティブ運用や機動的資産配分を否定するつもりはありませんが、この点については、手数料収入を得たい運用会社が発表したレポートだということを、割り引いて考える必要がありそうです。

ともあれ、無料で出回ることがほとんどない、長期予測に関するレポートを公開してくれた同社には、心より感謝します。

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