インデックス投資家は投資家でないのかもしれない
Twitterのタイムラインを眺めていたところ、さいもんさんが、インデックス投資家の「弱点」を話題にしていました。
- さいもん(@hitori_haitou)さんのツイート
- インデックス投資家の弱点は投資の魅力を語れない事だと思う。ホントにハナシがつまらない。
私はインデックス投資家ですが、確かにその通りだと思いました。
かつてデイトレードの真似事をしていた頃の楽しさは、今や微塵も感じていないからです。
その頃の楽しさや魅力について語ろうと思えばできますが、私はそれで大失敗しているため、結論がどうしても後ろ向きになってしまうのは難点です。
ところで、我が国における家計の金融資産が預貯金に偏っていることは、読者の皆様もご存知だと思います。
目下、「貯蓄から投資へ」をスローガンに、国を挙げて投資の普及を推進していますが、状況はあまり芳しくないようです。
やはり、投資家が投資の魅力を語れなければ、他の人に勧めるのも難しいでしょうか。
投資に抱く一般的なイメージと違う?
投資していない人がイメージするところの「投資」は、おそらくギャンブルと同義だと思います。
大儲けできる可能性も秘めている反面、取り返しのつかない大損を出す可能性もある、危険なものだという認識ではないかと、私は想像します。
インデックス投資は、大儲けと大損の両極端を避ける投資法ですから、インデックス投資家の多くは、この認識が間違っているというところから布教しようとするでしょう。
そして、「正しい」認識を伝えるためには、理路整然と体系立てて説明し、説得力を持たせる必要があります。
ところが、理論に基づき粛々と投資を継続すれば良いというストーリーに、楽しさを挟む余地は一切ありません。
そのため、聞き手によっては非常に退屈ないし苦痛で、時に投資への興味を失わせてしまう可能性さえあります。
さいもんさんは、これを問題として指摘しているのだと、私は理解しました。
投資の魅力を伝えるには
では、インデックス投資家が他の人に投資を勧めるには、つまり投資の魅力が聞き手へ伝わるには、どうすれば良いのでしょうか。
例えば、インデックス投資の魅力は、預貯金では成し得ない資産形成を堅実にできることだと言えますが、これが投資の魅力のすべてではありません。
特に、ギャンブルを期待している人の心には響かないでしょう。大儲けの可能性を秘めていることも、厳然たる投資の魅力だろうからです。
そう考えると、生粋のインデックス投資家は、投資でのギャンブルを極度に嫌うあまり、「してはいけないこと」を言い過ぎなのかもしれません。
投資家は、自己責任と引き換えに投資の自由を手に入れているわけですから、本来、他人にあれこれ指図される謂れはありません。
しかし、我が身を振り返ってみても、先述の大失敗の経験から「個別株への集中投資は危ない」などと、つい口走ってしまいます。
それが老婆心から出た言葉であったとしても、このような度量の狭さが、投資の魅力をうまく伝えられない原因ではないかと、私は思い至りました。
ですから、大儲けの夢なども語りつつ、インデックス投資の手堅さを理解してもらうというのが、現在のインデックス投資家に課せられた「使命」なのかもしれません。
投資家でないという自由
インデックス投資家の中には、自身を投資家だと認識していない方もいらっしゃいます。
投資を忘れて他のことへ夢中になれる、すなわち投資家でありながら投資家でない、そのような自由を手に入れられるのは、おそらくインデックス投資家だけでしょう。
その姿は、投資家の中にインデックス投資家がいるというよりも、一般人の中にインデックス投資愛好家がいるというほうが近いかもしれません。
インデックス投資の本質的な魅力とは、実はこの1点に尽きるのではないでしょうか。
アセットアロケーションなどの理論やコスト感覚は重要ですが、それらは、機械的にインデックス投資するための付随的な要素でしかないとも考えられるからです。
このように整理してみると、投資の魅力とインデックス投資の魅力を、それぞれ無理なく伝えられそうな気がしてきました。
いずれにせよ、インデックス投資家は、投資家としても一般人としても微妙な立ち位置にいるようですから、投資の話をする際にはその点を留意したいと、私は思っています。
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