投資信託協会が「投資信託の信認のための行動憲章」を公表
投資信託協会が2017年5月30日付で、「投資信託の信認のための行動憲章」を公表しています。
お知らせによると、金融庁の策定した顧客本位の業務運営に関する原則に基づき、中長期の資産形成における中核的な金融商品として信頼される
ことを目指し、本行動憲章を実践するとしています。
これは、最近の金融庁の意向を汲むものだと言えますが、それと同時に販売会社や信託銀行など関係各所にも協力を要請するなど、本腰を入れて取り組もうとする姿勢が見えて好感が持てます。
本行動憲章の全文は、以下の通りです。
投資信託の信認のための行動憲章
- 誠実・公正
- 投資信託委託会社は、投資者の最善の利益および市場の発展・健全性を図るべく、誠実かつ公正に行動いたします。
- 専門的能力と注意義務
- 投資信託委託会社は、高い専門的知見を有した人材の確保と、その能力の維持・向上に努め、業務の遂行にあたり、専門的能力と相当の注意をもって行動いたします。
- 情報開示
- 投資信託委託会社は、投資信託の透明性を確保し、投資者の投資判断に資するべく、適切な情報開示を行います。
- 独立性
- 投資信託委託会社は、自らの専門的な判断に立脚した独立の立場で、投資者ニーズに則した投資信託商品の提供と運用を行います。
- 利益相反
- 投資信託委託会社は、潜在的あるいは明白な利益相反を特定し、適切に開示するなど、公正かつ効果的に、それらを管理いたします。
- 効率性
- 投資信託委託会社は、投資者の利益を優先し、常に効率的な運営に努めるとともに、市場の動向や運用の状況に鑑み、投資者の利益に資する方策があると考えられる場合には、その可能性について能動的に検討し、適切に対応いたします。
- 投資先企業との関係
- 投資信託委託会社は、投資先企業の企業価値向上に向け、建設的な対話の推進に努めるとともに、適切な議決権行使とその結果の公表を行います。
- リスク管理
- 投資信託委託会社は、効率的なリスク管理が確保されるよう、リスク管理プロセスの策定と効果の検証及び見直しに努めます。
- 法令諸規則等の遵守
- 投資信託委託会社は、その業務に適用されるすべての法令諸規則及び投資信託約款を遵守いたします。
- ガバナンス
- 投資信託委託会社は、上記を遂行するため、必要に応じ外部の意見を求めるなどの取組みを通じ、自社の適切なガバナンス態勢を確保いたします。
当たり前のことを羅列しており、特に目新しい内容はありません。その上でこれらを再規定するということは、裏を返すと、現在の順守状況が相当に芳しくないということなのでしょう。
従前の投資信託は、金融機関の手数料稼ぎの道具として使われてきたこともあり、未だダーティーなイメージが付きまとっています。
また、「高かろう悪かろう」の商品も依然として多く、既存の投資信託の90%以上は必要のない商品だと断言する方さえいらっしゃいます。
そのため、「誠実・公正」「情報開示」「利益相反」の項については特に、既存のプロセスを一から見直すくらいの覚悟で真剣に取り組んで欲しいところです。
このように現在、金融機関の様々な階層において、金融庁が音頭を取って変革を進めようとしています。
願わくば、先頭に立つ金融庁が万一変質しても後戻りできないところまで、その歯車を早く回して一気に進んで欲しいと、私は思っています。
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