AM-Oneが投資信託の運用資産による貸株(レンディング)を展開へ
AM-Oneが2018年9月13日付で、投資信託に関する興味深いニュースを発表しています。
有価証券の貸付(レンディング)運用に関するお知らせによると、同社の運用する日経225ノーロードオープンについて、2019年度中を目途に、運用資産の一部を貸株に出し、品貸料を獲得する予定だとしています。
同社では2018年3月より、一部のETFにおいて貸株を開始しているとのことですが、投資信託においても順次展開していくようです。
リスクもあるが魅力的
もっとも、貸株は同社が勝手に決めて始めるわけではありません。ニュースでは、以下のように説明しています。
なお、レンディングは投資信託約款の記載事項に基づき行うもので、ファンドの基本方針や運用体制についての変更は一切なく、受益者のみなさまに特段のお手続きを求めるものでもありません。
投資信託の目論見書には、「有価証券の貸付」などと題する項がほぼ必ず設けられており、日経225ノーロードオープンの場合は、以下のように記載しています。
- 9)有価証券の貸付の指図および範囲(約款第21条)
- (a)委託会社は、信託財産の効率的な運用に資するため、信託財産に属する株式を貸付時点において、貸付株式の時価合計額が、信託財産で保有する株式の時価合計額を超えない範囲内で貸付の指図をすることができます。
- (b)上記(a)で定める限度額を超えることとなった場合には、委託会社は速やかに、その超える額に相当する契約の一部の解約を指図するものとします。
- (c)委託会社は、有価証券の貸付にあたって必要と認めたときは、担保の受け入れの指図を行うものとします。
貸株は、貸した株式が返還されないリスク(決済不履行リスク)を引き受ける代わりに品貸料を獲得する取引です。
同社では、予め定めた社内基準を満たす取引先にのみ、担保付で貸付取引を行い、継続的なモニタリングを行うことでリスク管理を徹底
するとしています。
しかし、仮にインデックスファンドで貸株の決済不履行が生じると、単に運用成績が劣後するだけでなく、指数にも連動しないという結果を招き、商品性に重大な欠陥が生じます。
逆に、品貸料が信託報酬などのコストを上回った場合も、運用成績が指数に連動しないこととなり、運用の複雑さが増します。
私自身は、リスク管理に万全を期す前提での貸株には賛成ですが、(目論見書に同意しているとはいえ)反対の方もいらっしゃることでしょう。
まずは同社のお手並み拝見といったところですが、貸株の是非については今後、議論を呼びそうですね。
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