日興AMが「クセの強い」バランスファンドを新規設定
EDINETの有価証券届出書によると、日興AMが2018年10月4日付で、「グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)」と「グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型)」の2本を新規設定します。
2本の商品性は同一で、2018年10月5日付で新規設定される「グローバル3倍3分法ファンド(適格機関投資家向け)」を実質投資対象とするFOFsとなっています。
ラインナップ
表内の信託報酬率(%)は、すべて税抜です。
名称 | ベンチマーク | 信託報酬率 |
---|---|---|
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型) | なし | 0.440 |
グローバル3倍3分法ファンド(隔月分配型) | なし | 0.440 |
グローバル3倍3分法ファンド(適格機関投資家向け)の投資スキーム
本ファンドは、内外の株式・債券・REITを投資対象としますが、国内株式と内外債券のアセットクラスに先物取引を活用することで、実質投資比率を3倍に引き上げます。
アセットアロケーションは、以下の通りです。
アセットクラス | 投資対象 | 実質投資比率(%) |
---|---|---|
国内株式 | 先物 | 20 |
先進国株式 | マザーファンド | 20 |
新興国株式 | マザーファンド | 20 |
日本国債 | 先物 | 40 |
米国国債 | 先物 | 40 |
ドイツ国債 | 先物 | 40 |
イギリス国債 | 先物 | 40 |
豪州国債 | 先物 | 40 |
国内REIT | マザーファンド | 20 |
先進国REIT | マザーファンド | 20 |
合計 | 300 |
株式・債券・REITの投資比率は、3:10:2(60%:200%:40%)となり、先物運用による債券のウェイトが極めて大きくなっています。
なお、マザーファンドについては、以下の通りです。
- 先進国株式
- 「海外株式インデックスMSCI-KOKUSAI(ヘッジなし)マザーファンド」を活用します。
- ベンチマークは、MSCI-KOKUSAI(円換算、為替ヘッジなし)です。
- 新興国株式
- 「海外新興国株式インデックスMSCIエマージング(ヘッジなし)マザーファンド」を活用します。
- ベンチマークは、MSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算、為替ヘッジなし)です。
- 国内REIT
- 「日本リートインデックスJ-REITマザーファンド」を活用します。
- ベンチマークは、東証REIT指数(配当込み)です。
- 先進国REIT
- 「海外リートインデックス(ヘッジなし)マザーファンド」を活用します。
- ベンチマークは、S&P先進国REIT指数(除く日本、円換算、為替ヘッジなし)です。
また、先物には指数連動先物を活用すると考えられることから、本ファンドを「合成指数連動型のバランスファンド」と捉えることもできます。
色々と興味が尽きない
本ファンドは、FOFsである点、投資対象が先物とマザーファンドのハイブリッド方式である点、実質投資比率が3倍となる点、債券偏重型である点など、極めて特徴的な商品性を備えています。
そして、指数連動型である点と低コストである点においては、一般的なバランスファンドの商品性も兼ね備えていると言えます。
ただ、レバレッジをかけている分だけ値動きが激しくなりますし、先物運用による減価も避けられませんから、本ファンドは長期投資に向いていないように思えます。
しかし、運用金額と運用年数に制約のあるケースにおいては、本ファンドの特徴を最大限に引き出せそうです。
例えば、一般NISA口座において、120万円の非課税枠をすべて本ファンドに充てると、実質的に360万円分を5年間、非課税で運用できることになります。
このように「クセの強い」本ファンドは、使いこなすのが難しく、用途も限られそうですが、なかなかに妙味のある商品だと、私は感じた次第です。
おことわり
有価証券届出書は、金融商品取引法に基づき、有価証券の発行者が内閣総理大臣に提出する書類であり、EDINETは、それら書類を閲覧するための電子開示システムです。
有価証券には、個人投資家が実質的に取引できないものも存在します。また、その旨を有価証券届出書に明記していなかったり、有価証券届出書そのものを取り下げたりする場合があります。
本記事は、有価証券届出書の開示内容に基づき作成しているため、このような事情により、読者の皆様が必ずしも当該有価証券を取引できるとは限らないことを、予めご承知おきください。
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