カブドットコム証券が個人型確定拠出年金(iDeCo)に参入・「カブコムのiDeCo」プランを提供開始へ
カブドットコム証券が2019年4月22日付で、個人型確定拠出年金(iDeCo)サービスに2019年4月27日付で参入すると発表しています。
プレスリリースによると、「カブコムのiDeCo」プランは、同社が受付金融機関、KDDI-AMが運営管理機関となって提供し、投資信託26本を含む計27商品をラインナップします。
「カブコムのiDeCo」の特徴
同社では、カブコムのiDeCoの特徴として、以下の4点を挙げています。
- 商品ラインナップ
- 投資信託は、インデックス型10本・バランス型5本・アクティブ型5本・ターゲットイヤー型6本(いずれも同社分類による)の計26本をラインナップします。
- ポイント付与
- KDDI-AMの設定・運用する「auの投資信託」(auスマートファンドシリーズ)4本については、運用残高に応じて「au WALLETポイント」または「Wow!スーパーポイント」を毎月付与します。
- 付与率は、auの投資信託ポイントプログラムと同様(前者は0.04~0.10%・後者は0.02~0.05%)となります。
- 運営管理手数料0円
- カブコムのiDeCoの運営管理手数料は、0円としています。
- スマホアプリ
- 同社の提供する「カブコムのiDeCo」アプリを通じて、運用状況の確認や積立・節税シミュレーション、手続きなどを行えます。
投資信託のラインナップ
表内の信託報酬率(%)は、すべて税抜です。
インデックスファンド
アセットクラス | 名称 | ポイント付与 | 信託報酬率 |
---|---|---|---|
国内株式 | つみたて日本株式(日経平均) | × | 0.180 |
国内株式 | つみたて日本株式(TOPIX) | × | 0.180 |
先進国株式 | つみたて先進国株式 | × | 0.200 |
新興国株式 | つみたて新興国株式 | × | 0.340 |
国内債券 | 三菱UFJ 国内債券インデックスファンド(確定拠出年金) | × | 0.120 |
先進国債券 | ステート・ストリート DC外国債券インデックス・オープン | × | 0.550 |
新興国債券 | eMAXIS 新興国債券インデックス | × | 0.600 |
国内REIT | 三菱UFJ <DC>J-REITインデックスファンド | × | 0.250 |
先進国REIT | 三菱UFJ <DC>先進国REITインデックスファンド | × | 0.530 |
金 | ステートストリート・ゴールドファンド(為替ヘッジあり) | × | 0.450 |
複合 | auスマート・ベーシック(安定) | 〇 | 0.350 |
複合 | auスマート・ベーシック(安定成長) | 〇 | 0.350 |
複合 | 三菱UFJ ターゲット・イヤー・ファンド2030(確定拠出年金) | × | 0.350 |
複合 | 三菱UFJ ターゲット・イヤー・ファンド2035(確定拠出年金) | × | 0.360 |
複合 | 三菱UFJ ターゲット・イヤー・ファンド2040(確定拠出年金) | × | 0.360 |
複合 | 三菱UFJ ターゲット・イヤー・ファンド2045(確定拠出年金) | × | 0.360 |
複合 | 三菱UFJ ターゲット・イヤー・ファンド2050(確定拠出年金) | × | 0.360 |
複合 | 三菱UFJ ターゲット・イヤー・ファンド2055(確定拠出年金) | × | 0.360 |
アクティブファンド
アセットクラス | 名称 | ポイント付与 | 信託報酬率 |
---|---|---|---|
国内株式 | ひふみ年金 | × | 0.760 |
国内株式 | フィデリティ・日本成長株・ファンド | × | 1.530 |
内外株式 | iTrust世界株式 | × | 0.890 |
内外株式 | iTrustバイオ | × | 1.330 |
内外株式 | iTrustロボ | × | 1.330 |
複合 | auスマート・プライム(安定成長) | 〇 | 1.086~1.315 |
複合 | auスマート・プライム(高成長) | 〇 | 1.217~1.446 |
複合 | 三菱UFJ DCバランス・イノベーション(KAKUSHIN) | × | 0.600 |
指定運用商品
同社は、指定運用商品として「auスマート・ベーシック(安定成長)」を選定しています。
手数料
手数料体系については、以下の通りです。
加入・移管時手数料
表内の金額(円)は、すべて税込です。
支払先 | 金額 |
---|---|
国民年金基金連合会 | 2,777 |
運営管理機関 | 0 |
合計 | 2,777 |
加入者手数料(月額)
表内の金額(円)は、すべて税込です。
支払先 | 金額 |
---|---|
国民年金基金連合会 | 103 |
運営管理機関 | 0 |
事務委託先金融機関 | 64 |
合計 | 167 |
冒険の少ない無難な船出を目指したか
ネット証券の中では何かと遅れの目立っていた同社ですが、ここへ来てようやくiDeCoプランを提供できる運びとなりました。
これは、2019年4月1日付で発足したauフィナンシャルホールディングスが本格的に動き出した証とも言えそうです。
スマホ管理を可能としたり、運営管理機関の加入者手数料を無料としたりするのは、ネット証券のiDeCoでは既に当たり前となっていますが、その辺りのトレンドも外さず盛り込んでいるのは、率直に評価すべきでしょう。
個人的には、以下のポイントに注目しています。
- インデックスファンドに「eMAXIS Slim」シリーズではなく「つみたてんとう」シリーズを採用した点
- 先進国・新興国の債券と国内・先進国のREITの信託報酬率が割高な点
- ラインナップ全体に占めるアクティブファンドの比率が高めな点
- 良心的な信託報酬率のアクティブファンドを揃えた点
- 先進国債券のインデックスファンドに系列(三菱UFJ国際投信)外のものを選定した点
インデックスファンドの信託報酬率については、競合のSBI証券のiDeCoや楽天証券のiDeCo、松井証券のiDeCo、マネックス証券のiDeCoよりもやや劣る感が否めません。
しかし、伝統的4資産(内外の株式・債券)に超低コスト商品を充て、アクティブファンドを多くラインナップし、金のアセットクラスも用意するなど、競合との勝負に備えた工夫を感じ取れます。
現時点ではポイントプログラムの訴求力が乏しく、今後の改善に期待したいところですが、プラン内容としては無難に仕上がっていると、私は感じた次第です。
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